<終わりに、そして始まりに>

 平和というと堅苦しいが、平凡で幸せな生活。そんなのが続いていた。

 飽きた。

 これからずっとか?このままか?

 そのころに撮っていた写真を見ると本当に平和だ。キレイだ。でも不気味だ。その風景に、どれくらい撮りたくなったんだ?と自問したいくらい他愛ない。

 そんなふうに思いはじめて、なんか知らないが生活は変わった。まず親元を出て、無職もやった。あれはツラかった。でもその後は、波が来れば乗る。乗ったら楽しみきってやる、という自分のスタイルが出来た。写真もそうだ。波が来る。そのときはのめりこんで撮ってやる。

 今度の波は僕をタイに連れてきた。奇しくも、バンコクの中華街はあのときの上海と同じだった。打ち寄せる人。怪しげな路地。あの雰囲気に戻ってきたのだ。

 一つ、こう決めておけばいい。「自分で見てみること。」 なんとなく通り過ぎてしまえば、もう見れないかもしれない。そしてそこには、見たことの無かった世界が広がっているかもしれない。この目で見よう、と決めておけば、どんな路地にも入っていける。

 僕はもう、機材には困っていない。暗ければズミルックス35mmに400のフィルムでいく。そうでなければズマロンがある。50mmならズマール。ズマリットもズミクロンもいいところがあるので50mmを持っていくときは選ぶのに困るほどだ。ロッコールの28mmと90mmは、いざその画角が欲しいときにしっかり働いてくれる。

 50mmはたいていM3につけておく。広角はM2かM6TTLにつける。

 ズマール5cmのキズのないやつがあったら欲しいと思う。でもそれはいつか日本に帰った時でもいい。いまのヤツでも十分に映ってくれている。僕のライカシステムは揃った。あとは歩いてシャッターを押すだけだ。

 中華街は今日もエキゾチックでいてくれる。
 僕は目の前の光景にうたれて、立ち尽くして、、、
 そしてまた、シャッターを切る。


       


 (中華街の花の路地、ズミルックス35mmF1.4  2001年8月26日 ライカライカ第一巻終わり)

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