<はじまり>
ライカを買うつもりなんて全く無かった。
もともと旅行が好きで、旅行中に持ち歩くためにコニカヘキサーを使っていたのだ。
発売当初の1990年くらいから使っていて、その素直な映りにずっと満足していた。
しかし、「欲」というのはあるタイミングで、急に高まってくる。
その欲のタイミングを捕まえると、思いにもよらなかったものを手に入れていたりする。
思いにもよらないものを手に入れて、自分としては嬉しい気持ちのほうが大きいのだが、冷静に考えるととんでもない買い物である。よりによってあの、高価なことで有名なライカだ。
(この3ヶ月ライカのボディー、レンズを手に入れるために使ったお金、、、100万円!)
まちがいだったのだろうか、、、、
<コニカヘキサー>
単焦点でぱっとしない外見。シャッタースピードは一眼では4000分の1もあたりまえの時代に500分の1すらない。赤外線アクティブフォーカスで、マニュアルフォーカスはやりにくく、何度ピンぼけを経験したことか。
しかし、うまく映ったときの描写には息をのむ。素直な特性のレンズが、旅のそのときをリアルに再現してくれる。高機能化していくカメラボディーが宣伝される中、何よりも重要なのはレンズなんだ、ということを僕に教えてくれたのがこのヘキサーだった。
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KONICA HEXER
35mm F2.0 |
このヘキサーの流れを受けて、2000年に華々しく登場したのがヘキサーRFだ。RFはレンジファインダーの頭文字で、ファインダー内中央の二重像を見ながらマニュアルでピントを合わせるカメラだ。
ヘキサーRFは、僕にもグッとくる魅力的なカメラだった。レンズ交換ができる。シャッター速度は4000分の1秒まで早くなった。レンズについたピントリングを回してフォーカシングできる。チタンやアルミダイキャストを使った頑強なシャーシ。なにしろスキというものがない。
値段が高すぎるとも思ったが、インターネットで調べたり、「ヘキサーRFのすべて」なんていう本を買ったりして、いよいよ欲しくなった。店で見てもやはりヘキサーRFだ。少し後にベッサRという同様のレンジファインダーカメラが発売されたが、いかにもプラスチック、というその裏蓋に、ほんの少しのアソビが生じているのを店頭でみつけたりして、「これではヘキサーのように10年は使おうとしている僕の要求に応じられない」などと思ったりしていた。
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「ヘキサーRFのすべて」
えい出版社、\1200 |
<ライカレンズの味>
僕はピアノも弾く。その日は大学時代から付き合いのあるピアノ仲間と池袋で飲んでいた。確か企画していた次のコンサートの打ち合わせか何かを話していたのだ。その中に、不幸なことにライカユーザーがいた。こいつのせいだ。僕があっという間に100万も使い込んでしまったのは。
そいつは、前に飲んだときにもライカを持ってきていて、僕と僕の奥さんとかをコトッコトッと写していた。(この「カシャ」ではなく、「キシーンキシーン篠山キシーン」でもなく、「コトッ」という音もあとで重要となってくるライカの特徴である。)
そのときの写真が出来たというので彼は僕の分も焼き増して持ってきてくれていた。そいつは前前から「このレンズはこういうところがこう映ってどうこうどうこう、、、、」と能書きをたれるやつだった。能書きは好きじゃないのだが、ヘキサーRFに20万円近くを投じようかと悩んでいるところだったので「どれどれ」とそのときは能書きを聞きながら写真をよく見てみた。
すると、おおっ、そいつの言う通りだ!今までに自分が撮った写真とぜんぜん違うじゃないか!
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